Googleスプレッドシートで作る在庫管理システム
無料で始められる在庫管理の仕組みを、実際の設定手順とともに解説します。
なぜGoogleスプレッドシートで在庫管理なのか
在庫管理システムと聞くと、高額なソフトウェアを想像するかもしれません。しかし、小規模事業者にとって、Googleスプレッドシートは無料で始められる最適なツールです。
Googleスプレッドシートのメリット
1. 完全無料
Googleアカウントがあれば、追加費用なしで利用できます。
2. どこからでもアクセス可能
クラウドベースなので、パソコン、スマホ、タブレットからいつでもアクセスできます。
3. リアルタイム共有
複数のスタッフで同時に編集・閲覧が可能です。
4. 自動保存
データが自動的に保存されるため、入力ミスや停電でもデータが失われません。
在庫管理シートの基本構成
必要な項目
効果的な在庫管理には、以下の項目が必要です:
基本情報:
- 商品コード(SKU)
- 商品名
- カテゴリー
- 仕入先
在庫情報:
- 現在庫数
- 安全在庫数
- 発注点
- 単価
- 在庫金額
その他:
- 最終更新日
- 備考
ステップ1:基本シートの作成
1. 新しいスプレッドシートを作成
Googleドライブから「新規」→「Googleスプレッドシート」を選択します。
2. 列見出しを設定
A列からL列まで、以下の見出しを入力します:
- A列:商品コード
- B列:商品名
- C列:カテゴリー
- D列:仕入先
- E列:現在庫数
- F列:安全在庫数
- G列:発注点
- H列:単価
- I列:在庫金額
- J列:ステータス
- K列:最終更新日
- L列:備考
3. 見出し行の書式設定
1行目を選択し、背景色を設定(推奨:薄い青色)、太字にします。
ステップ2:数式の設定
在庫金額の自動計算
I2セルに以下の数式を入力:
`=E2*H2`
これで現在庫数×単価が自動計算されます。
ステータスの自動判定
J2セルに以下の数式を入力:
`=IF(E2<=F2,"要発注",IF(E2<=G2,"注意","適正"))`
これで在庫状況が自動的に判定されます。
最終更新日の自動記録
K2セルに以下の数式を入力:
`=IF(E2<>"",NOW(),"")`
在庫数が入力されると、自動的に日時が記録されます。
ステップ3:条件付き書式で視覚化
ステータスに色を付ける
1. J列を選択
2. 「表示形式」→「条件付き書式」を選択
3. 以下のルールを設定:
- 「要発注」→ 赤色の背景
- 「注意」→ 黄色の背景
- 「適正」→ 緑色の背景
これで在庫状況が一目で分かるようになります。
ステップ4:入出庫記録シートの作成
新しいシートを追加
下部の「+」ボタンで新しいシートを作成し、「入出庫記録」と名前を付けます。
記録項目
- A列:日付
- B列:商品コード
- C列:商品名
- D列:入庫/出庫
- E列:数量
- F列:担当者
- G列:備考
在庫シートとの連携
VLOOKUP関数を使って、商品コードから商品名を自動入力:
C2セルに:`=VLOOKUP(B2,在庫管理!A:B,2,FALSE)`
ステップ5:発注管理の自動化
発注リストの作成
新しいシート「発注リスト」を作成し、FILTER関数で要発注商品を自動抽出:
`=FILTER(在庫管理!A:L,在庫管理!J:J="要発注")`
これで発注が必要な商品が自動的にリストアップされます。
ステップ6:グラフで可視化
在庫金額の推移グラフ
1. データ範囲を選択
2. 「挿入」→「グラフ」を選択
3. グラフの種類を選択(推奨:棒グラフまたは円グラフ)
カテゴリー別の在庫金額や、在庫状況の割合を視覚化できます。
実践的な運用のコツ
1. 毎日の在庫確認を習慣化
朝一番や営業終了時に、必ず在庫数を確認・更新する習慣をつけましょう。
2. スマホアプリを活用
Googleスプレッドシートのスマホアプリをインストールすれば、外出先でも在庫確認・更新が可能です。
3. 定期的なバックアップ
月に1回、「ファイル」→「コピーを作成」でバックアップを取りましょう。
4. アクセス権限の管理
スタッフには「編集者」、経営者には「オーナー」の権限を設定し、適切に管理しましょう。
さらに高度な活用
Google Apps Scriptで自動化
プログラミングの知識があれば、以下のような自動化も可能です:
- 在庫が発注点を下回ったら自動メール通知
- 毎週月曜日に在庫レポートを自動作成
- バーコードスキャナーとの連携
まとめ
Googleスプレッドシートを使えば、無料で実用的な在庫管理システムを構築できます。最初は基本的な機能から始めて、徐々に自動化を進めていくことをお勧めします。
「もっと高度な在庫管理システムが必要」「自社に合わせたカスタマイズをしたい」という方は、IT活用サポートクラブにご相談ください。あなたのビジネスに最適な在庫管理の仕組みをご提案いたします。